このネタは気分が悪くなるし、もっと楽しいことを考えたいのですが、モヤモヤしたものはこの際吐き出しておこうと思います。
先日の記事の続きですが、この訓練士を擁護する意見が増えてきていて、番組への意見も苦情のほうが少なかったと書いているところもありました。
擁護派の主な意見はというと:
1.他の訓練士は受け付けない。
2.他に方法ではダメだった。出来るなら自分でやってみろ。
3.なおせないと保健所送りになる。犬を引き取っている。
4.犬が怖がっていたら、寄っていかないら、訓練士のことは殴られても受け入れている。
これは、番組が暴力的な訓練法を美化することに成功したということだと思います。
単にこの訓練士さんの仕事への姿勢に感動したという人も多そうでした。
かれのホームページに「もしそれ以上の訓練士をご存じの方がいましたらお知らせください。是非お友達になりたいと思います。」とかいてあったんですが、本気で向上心がある人なんでしょうか?
まめ蔵よりひどい噛み犬を矯正した陽性強化のトレーナーも日本にいますけど、委託じゃないです。
委託できないというところも問題にしているようでした。
行動学も知っているけど、褒めるだけ、ストレスかけない方法ではダメなんだ的に書いていました。
そりゃそうだけど、行動学って褒めるだけ、ストレスかけないっていう方法ではないと思います。
[本能が抑えられない状態にあるため、食事の時間にムチで大きな音を出し、最低限の痛みを与え、我慢の経験を積ませる。]
ということなんですが、感情や行動をコントロールするためには前頭葉を使います。でも、命令されたり、抑圧されていると前頭葉は刺激されず、動物が自ら選択し、行動をおこしたときは、前頭葉の報酬システムが刺激されることが分かっています。
暴力を我慢できても前頭葉を鍛えることはできません。
だからら抑圧的な方法で犬たちが変わったというなら、別の理由(学習性無力感など)で変わったと考えるほうが妥当だと思います。
リコーラーのスーザンも一般的な陽性強化のトレーナーからは批判も受けていますが、スキナーの弟子の弟子にあたる人で本当に行動学を理解している人です。彼女も褒めるだけの方法ではダメなこともある、でも、自分は暴力的な方法を選択しないと言っていました。
彼女の手法は、「グーとパー」や「ドアの開け閉め」で「待つこと」、「自制」することを教えます。(動物園の動物にも使われています。)
叩かなくっても、欲しいものにアクセスできないようにすれば、教えたいことは伝わるし、簡単な動作を使うことで、短期間で、待つ経験を何度も積ませることができます。
待つ選択をすることで報酬システムが刺激されるようになるので、脳が本能を抑えられるように変わっていくんです。
生徒さんの中には、遺伝的とおもわれがちなひどい光フォビアを改善させた人もいます。
待つ行動が自発的でなければいけないので、「マテ」と言ってしまったら意味ないと思うのです。
1秒でも自主的にマツという選択をさせることも教えられないんでしょうか?
一年もネチネチ犬をいじめる忍耐力があるなら、地道に1秒から時間を延ばすことできるとおもうけど、自分のスキルを捨てたくないし、ビジネスとして成り立っているから続けているんじゃないでしょうか。
「もう少しやらせてください」ってこれ以上まめ蔵に何するの?
でも、飼い主さんからの手土産らしきものを持っていたので飼い主さんは頼りにされているんでしょうね。
自分で出来ない人が委託するビジネスを頼ってもよいと思うけど、こんなに誇らしげに放送する必要はなかったと思います。
あと、罰を与えている人に犬が好意的な態度を示すことは、「パブロフの犬」の実験の時にも観察されています。トラウマティック・ボンディングってやつだと思います。
心を折るのに1年かかる和犬って本来は素晴らしい犬たちだなぁと思いました。
戌年だからこそ、未来に向かった建設的な話を取り上げてほしかったです。
それでも、この番組が、飼い主のひとりひとりが自分のスキルをステップアップすることを考えるきっかけになればと思います。
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